【完全版】債務整理のメリット・デメリットまとめ
そもそも債務整理って何?
日本信用情報機構によれば、現在の日本で借入残高がある人は1,149万人にも上るそうです。さらに複数社から借り入れをしている人は400万人近くとのことです。
多くの方が借金に苦しんでおり、少しでも借金を減らしたいと考えているかと思います。地道に返済を続けられればいいですが、多額の借金を抱えてしまった方はどうすれば良いのでしょうか。
そんな借金返済に苦しんでいる方の救済措置としてあるのが「債務整理」です。債務整理とは、借金の額を減らし、重い金利負担から解放されるための手続きなのです。
とはいえ、借金を減額・帳消しにできるからといって、考えなしにすぐに手続きを行ってしまうと、かえって自分を苦しい境遇に置いてしまう可能性もあります。まずは、債務整理とは何なのか、どのような方法があり、メリット・デメリットは何かを理解しましょう。
債務整理の種類とその方法
一口に債務整理といっても、その方法は1つではありません。それぞれの特徴を知って、どれが自分に適した方法かを考えてみましょう。
債務整理は以下の4種類になります。
①過払い金請求
②任意整理
③自己破産
④個人民事再生
それぞれに特徴があり、誰でもこの4種類を行えるわけではありません。自分にはどの方法が向いているのかを見てみましょう。
①過払い金請求
過払い金とは、貸金業者が、利息制限法で決められた金利の上限を上回って利用者に返済させた利息です。10年以内に“借金を完済した”もしくは“最後の入出金をした”場合に、発生した過払い金を貸金業者から返還してもらうことができます。
最後の取引日が10年以内であれば、10年以上前に発生している過払い金に関しても返還してもらうことが可能となっており、返還された過払い金を現在の借金に充てて借金を完済できた人も多くいます。
②任意整理
任意整理とは、裁判所を通さずに借金を減額する手続き交渉のことです。
上で説明した過払い金請求も任意整理の一種になりますが、専門家が貸金業者と返済の方法や返済額を交渉し、返済可能となるような条件での合意を成立させる手続きのことを指します。
過分割で支払う条件のもと、将来の利息をカットする交渉を行います。
③自己破産
自己破産とは、裁判所で全ての債務を免除してもらう手続きです。
裁判所に「破産申立書」を提出して、支払いが不可能である(免責許可)と認められれば、税金の滞納などを除いたすべての借金の支払いをする必要がなくなります。
ただし、破産ができるのは“支払い不能”となった場合のみで、負債の額・収入・資産等の状況から総合的に判断されます。全ての人が自己破産できるわけではないことを理解しておきましょう。
④個人民事再生
個人民事再生(個人再生)とは、裁判所を通じて債務を減額してもらう手続きです。
裁判所に「再生計画」を提出し、それが認可されると原則として「債務が5分の1に減額」されます。そしてそれを原則3年(例外的に5年)の長期の分割払いで返済していく、という形になります。
任意整理と比較すると減額幅が大きく、自己破産のように家や車などの資産を手放す必要もありません。ただし、手続き後も返済を続けなくてはいけませんので、きちんと完済できるような返済計画を立てて裁判所へ提出しなくてはなりません。
債務整理の中ではとても手続きが複雑なものですので、個人民事再生を行いたい場合には必ず専門家へ相談をするようにしましょう。
債務整理のメリット・デメリット
債務整理をする際の、それぞれのメリットとデメリットを以下にまとめてみましょう。
①過払い金請求
<メリット>
・払いすぎた利息が返ってくる
・自分でも行えるため、債務整理の中では手軽
・過払い金によって借金を完済することができれば、ブラックリストに載らない
すでに支払ってしまっている「払いすぎた利息」を返してもらうことができます。手続き自体も裁判所を通さずに専門家、もしくは自分でもできるので債務整理の中では比較的手軽となっております。専門家に依頼すれば周囲に内緒で手続きできますが、自分で過払い金請求手続きをする場合、業者と直接やり取りしなければならないので自宅に連絡がくるなどして家族に知られてしまう可能性があります。周りから借金の事実を隠したい場合には、司法書士など専門家への相談をおすすめします。
また、過払い金請求は、返済能力の有無とは関係がないとして2010年に金融庁で過払い金請求をした記録を信用情報に登録することが禁止されました。従って、現在借金返済中の方であっても、返還してもらった過払い金によって借金を完済できれば信用情報に記載される心配はありません。ただし、過払い金を充ててもなお借金が残る場合には、「任意整理」と見なされ信用情報の事故情報(ブラックリスト)に記載されてしまう可能性があります。
<デメリット>
・過払い金がない場合や、10年以上前に完済している場合は貰えない
・過払い金請求を行った貸金業者からはもう融資を受けられない可能性がある
そもそも過払い金が発生していなければ返還請求を行うことはできませんので、誰でもできるわけではないことを理解しておきましょう。
また、一度、過払い金請求を行うと、その貸金業者から融資を受けるのは難しくなるでしょう。とはいえ、借金を過払い金によって相殺できた場合、信用情報などには記載されないので他社にまでその情報が回ることはなく、他社で融資を受けることは可能です。
その他の債務整理と比較するとデメリットは少ないでしょう。
②任意整理
<メリット>
・手続きの資格などがないため、誰でも行える
・手続き完了後の将来利息が免除される
・専門家に依頼すれば周囲に知られることなく手続きできる
・専門家に依頼すれば、督促がストップする
任意整理は裁判所を通さずに行いますので、職業制限や資格制限もなく、誰でも行うことができ、どの貸金業者に対して行うかも選択できます。
任意整理を専門家に依頼し、司法書士や弁護士から貸金業者に受任通知が送られた時点で取り立て行為がストップするので精神的にゆとりが持てるでしょう。その後、司法書士や弁護士が貸金業者に将来利息のカットを交渉してくれるので、無理のない返済計画が立てられます。利息ばかり払っていてなかなか減らない借金に悩まされてきた人は、完済のめどがたつので先の見えない不安から解放されます。
<デメリット>
・信用情報の中の事故情報に記載される
・他の債務整理と比較すると債務を減額させる効果が低い
・任意整理に応じない貸金業者もいる
・自分で手続きをおこなうことは難しい
任意整理の場合、信用情報の中の事故情報に記載されてしまい、その情報は完済後5年間、削除されません。そのため、いわゆるブラックリストに載ってしまうため、新たな借り入れやローンなどは難しくなります。
また、任意整理は将来利息をカットするだけで、借金の元本は減らせません。従って、他の債務整理と比較すると借金を減額する効果は薄く、任意整理した後でも借金返済に苦労する方がいるのも事実です。
また、任意整理は”話し合いによる交渉”ですので中にはそれに応じない貸金業者もいます。個人で交渉してもほとんど応じてもらえませんので司法書士などの専門家に依頼することが必要です。
③自己破産
<メリット>
・全ての債務の支払い義務が免除される
・手続き開始後、強制執行ができなくなる
・認められた資産であれば手元に残すことができる
自己破産は、基本的に客観的に見て返済が困難だと判断されれば誰でも手続き可能です。そして免責されれば、税金などの滞納金を除くすべての借金を返済する義務がなくなります。
自己破産には、財産や免責不許可事由(免責を許可できない、つまり借金の支払い義務を免除すべきではない理由)の有無で「同時廃止事件」と「管財事件」の2種類にわけられます。「管財事件」が破産手続きの原則的な形態で、裁判所によって破産管財人(破産人に代わって財産の管理・処分・換金を行う人)が選ばれて、手続きが行われます。財産(原則として20万円以上)がある場合または免責不許可事由がある場合には、この管財事件として扱われます。
20万円未満の財産であれば手元に残しておくことが可能です。
一方、配当すべき財産がないことが明らかな場合には「同時廃止事件」として破産手続の開始と同時に破産事件が廃止されます。(廃止:裁判所の決定によって、破産者の清算が終了する前に破産手続を終了させることをいいます。)
<デメリット>
・必ず免責されるわけではない
・信用情報の中の事故情報に記載される
・住所氏名が「官報」という国が発行する機関紙に掲載される
・免責決定まで一部の職業に就けない
裁判所に破産申立書を提出したからといって、全ての人が自己破産できるわけではありません。“浪費やギャンブルが原因の借金”の場合、免責が認められないことがあります。
自己破産をすると、信用情報の中の事故情報(ブラックリスト)に記載され、5~10年間その情報は削除されません。そのため、新たな借り入れやローンは難しくなるでしょう。
また、手続き開始から免責決定までは「破産者」として扱われますので、職業制限などがつき、以下に記載の一部職業・資格に就けなくなってしまいます。
※司法書士、弁護士、税理士、公認会計士、弁理士、公証人、宅地建物取引業者、証券会社外交員、質屋、古物商、風俗営業者、生命保険募集員、損害保険代理店、警備員、建設業者、後見人
④個人民事再生
<メリット>
・借金の大幅な減額が可能
・手続き開始後、強制執行ができなくなる
・住宅や車などの財産を手放す必要がない
原則として借金を5分の1に減額することができるため、高額な借金を一気に減らすことが可能になります。また、資産を処分しなくても済むので、住宅ローンを抱えているがどうしてもマイホームは手放したくない、などといった場合によく利用されます。
<デメリット>
・返済継続可能な収入がないと手続きができない
・信用情報の中の事故情報に記載される
・住所氏名が「官報」という国が発行する機関紙に掲載される
個人民事再生を行うためには、以下の条件を満たさなくてはいけません。
1,個人の借金であること(法人名義ではない)
2,借金の総額が5,000万円未満であること(住宅ローンを除く)
3,今後、継続した一定の収入が見込まれること
個人民事再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があり、小規模個人再生の場合は、貸金業者の2分の1の同意が必要になってきます。
また、自己破産と同様に信用情報の中の事故情報に記載され、5~10年間その情報は削除されません。
どれが自分に適しているのか分からない
債務整理は色々な条件によっても、できる、できないが異なりますし、それぞれにメリット・デメリットがあります。自分の借金の状況をよく理解し、どうすれば、借金を完済することが可能か考えてみましょう。
複数の貸金業者から借金をしていたり借金が高額に及ぶ複雑なケースでは、債務整理についての専門知識が必要になります。自分一人で頭を悩ますよりも、まずはどの方法が可能なのか専門家に相談することで解決の糸口をつかむことができます。アヴァンス法務事務所では無料相談を行っておりますのでお気軽にお電話やメールなどにてご相談ください。
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