家を建ててからじゃ遅い!軟弱地盤を見分ける方法。

家を建ててからじゃ遅い!軟弱地盤を見分ける方法。

家の購入を検討する際、地盤について知識の少ない方が多いようです。いくら頑丈な家を建てたとしても、そこが軟弱な土地であれば危険が伴います。正しい知識を身につければ、思わぬ危険を回避することができるかもしれません。安心できる家づくりのために、ちょっとだけ理解を深めてみませんか?

家を建てる方必見!家を建てる前にまず地盤を確認しよう!

廃業したままのガソリンスタンドを見かけたことはありませんか?地下にあるガソリンタンクによる土壌汚染が原因で、除去費用が必要になるためなかなか買い手がつかないのです。

内外装のリフォームとは異なり、構造は簡単に修復することはできません。傾きが出てからでは手遅れになってしまいます。家の購入を検討しているときこそ、ある程度理解しておくことが大切です。

知ってた?地盤によるトラブルはめずらしくないんです

不動産業者の広告には、駅からの距離や日当たり、周辺施設についての利点ばかりが並びます。しかし、地盤について詳しく記載された広告は見たことがありません。

ずっとその土地に住んでいれば、元が沼地や水田であったかどうか分かります。しかし、初めて来た方にはごく普通の分譲地にしか見えません。周囲の環境に目を奪われ、住んでからトラブルが表面化するパターンが増え続けています。

基礎知識で軟弱地盤を疑おう!

ドアが閉まらなくなったり、外壁や基礎にひびが入っていたら、軟弱な土地の上に建っている家なのかもしれません。傾いた家を元通りにするのはとても難しいことなのです。
こうしたリスクを回避するためにも、場合によっては専門家に調査を依頼するという選択肢もありますよ。

地震の揺れを増幅する「軟弱地盤」とは?

水田や河川付近、低地や谷地などの水の溜まりやすい場所に多く見られます。地盤そのものが軟弱なので地震の揺れも増幅します。こういった場所に家を建てる際は、地盤調査がおすすめです。
調査費用は数万円、工事となると数十万円掛かりますが、将来のことを考えれば、決して高い金額ではないかもしれません。

「不同沈下」は傾いて沈んでいく…。

地盤が均等に沈下せず、一部が沈下して家が傾斜している状態を指します。
床にビー玉を置くとコロコロ転がったり、外壁や基礎にひび割れが確認できます。強度にばらつきのある敷地や、対策を施さないまま家を建てた場合に起こりうる状況です。

「液状化」は砂地がかき回されて起きる

地下水位の高い砂地で発生する現象です。通常地盤は土や砂、水、空気などが均等に混ざっている状態ですが、地震による揺れによって、細かい砂の粒子が下層に溜まり、水や泥が上層に上がり液状化して家が傾く現象です。
場合によっては水が噴き出たり、建物が沈み込みます。液状化が起こりやすいのは、海岸や河川付近や埋立地です。完全に防ぐことは難しいものの、地盤改良の種類によっては対策も可能です。

「密圧沈下」は家の重さで水分が抜ける!?

水分を多く含んだ粘土性の土の上に家を建てると、その重みで徐々に水分が抜けて家が沈む現象のことです。

2万年前の最終氷期以降に堆積した沖積層(ちゅうせきそう)や、水田の盛土には、一般的に「締固め」という作業を行います。土の中の空気を押し出して土中の隙間を密にする方法です。この作業が不十分だと、雨が染み込み不同沈下の原因ともなってしまいます。

「傾斜地の盛土」の安定には3~5年必要✔︎

傾斜地はそのまま利用できないので、盛土(傾斜に土を盛る)や切土(傾斜の土を切り取る)によって平らな土地にしていきます。

切土は元の地盤を残したまま切り取るので比較的安定はしていますが、盛土は十分に固められていない場合が多く、高さ2m以上の盛土は特に軟弱地盤の可能性があります。造形前の地形を想像しながらよく観察してみてください。

軟弱地盤を見つけよう!

実際に歩いて確認してみよう!

土地の良しあしは、実際に歩いてみることが一番です。造成されて間もない場所は、ある程度の雨量が降った後にチェックしてみましょう。水たまりが見当たらない場合は、地面が水を吸い込んでいる可能性があります。
また、周囲に家屋がある場合は基礎のコンクリートにひびが入っているようであれば、将来的に不同沈下の可能性もあります。

地図でもわかる軟弱地盤

国土地理院が発行している25,000分の1「土地条件図」で、大地や傾斜地、盛土などおおよその特徴がわかります。
首都圏・名古屋・京阪神などの地域はWebで閲覧も可能です。自治体のハザードマップや図書館にある「古地図」なども活用してみましょう。

改良後に地盤事故が起こる可能性もあります

地下水脈によってセメントが流出していたり、杭が安全な層に到達しないまま施工されていたりと、改良後に事故が発生してしまうケースが多々あります。
1999年に住宅品質確保促進法(品確法)が施行されてからは、地盤事故への補償制度が確立され、その実態が浮き彫りになってきました。今後は当時の工法の問題から、ますます事故の発生件数が増えることが予測されます。

安易な土地改良は危険を伴います

将来的に土地を売る場合、セメントや鋼管杭が地中に残っていると、産業廃棄物として扱われ、撤去を買主から求められる場合があります。
また、土壌汚染が確認された場合、浄化費用も追加される可能性も。目先の値段に捉われることなく、将来を考えながら選択していくことが大切です。

最後に

購入した土地が安全なままかどうかは、見た目や限られた坪数の資料だけでは判断できません。土地の周辺状況と、過去の水害や地震による被害を知ることで、ある程度のレベルまで推察することが可能です。安心して暮らすために、不動産業者や設計者ともしっかりとした打ち合わせができるよう、最低限の知識は身につけておきましょう。

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