自己破産した後でも過払い金請求ってできるの?

自己破産した後でも過払い金請求ってできるの?

自己破産していても過払い金請求はできる?

現在の自分の収入では返せないような高額な借金を解決するために、自己破産という選択肢をとるケースがあります。特に、家や車のような売却できる資産を持っていない方や複数の貸金業者から借金をしている方が、最後の手段として手続きをすることが多いようです。自己破産をすると、その後、数年間は借入れが難しくなり、また新たに自己破産などの債務整理を行えなくなります。

自己破産には、このような法的な制限が設けられているのですが、自己破産をした後になって過去に過払い金が発生していたことが発覚した場合には、過払い金請求も行えなくなってしまうのでしょうか?


 

自己破産しても過払い金請求は可能!

結論から言ってしまうと、自己破産した後でも過払い金請求をすることは可能です。
自己破産の場合、一度借金返済の免責をうけると、その後7年以内に再び免責を受けることはできません。過払い金請求は、貸金業者に払いすぎた利息金を返済してもらうための行為であって、免責にはあたりません。自己破産をしたからといって過払い金をあきらめる必要はありません。

ただし最近では、自己破産時に過払い金が発生しているかも調査するようにと裁判所からの指示が入るため、自己破産の手続きと同時に過払い金請求を行っていることがほとんどです。このような場合には、まず自己破産申立て前に過払い金の回収を行い、その一部を破産申立書の作成費用や生活費、税金などに充てます。

自己破産申立て後に過払い金請求を行った場合、過払い金の合計が一定金額を超えてしまうと、過払い金の合計額を破産債権者(借金元。ほとんどの場合貸金業者)に配当しなければなりません。そうなると、過払い金を自己破産の申し立て費用に充当することができなくなってしまうため、ほとんどの専門家が上記の流れで手続きを行います。

自己破産したのが最近であれば、後から過払い金が発覚するケースは少ないでしょう。

 

2006年以前の自己破産者は過払い金のチェックを!

最近であれば、自己破産する前に過払い金が発生していないかのチェックを行うのですが、そもそも貸金業者へ過払い金の返還義務を認めていなかった時代では、過払い金の存在そのものが見落とされがちでした。そのため、自己破産時に過払い金のチェックなどを行わずに手続きを進めたケースも多いようです。

2006年(平成18年)1月13日最高裁判決で「利息制限法の上限を超えた金利の無効」と「過払い金の返還」が言いわたされ、特に2008年(平成20年)ごろから過払い金のチェックをするよう積極的な指導を行っています。それ以前に自己破産をした人は過払い金が発生している可能性が高いので、専門家に相談してみるといいでしょう。

ちなみに、過払い金には10年の消滅時効があり、最終取引日から10年経過すると過払い金請求ができなくなってしまいます。自己破産をしてから10年以内で過払い金の清算が済んでいない方は、消滅時効を迎える前に過払い金請求を行うようにしましょう。

過払い金の返還請求で気を付けたいポイント

自己破産後に過払い金請求を行うと、和解決着に至らずに裁判にもつれ込むケースが多くなります。簡単に言ってしまえば、基本的には自己破産時に過払い金を借金に充当するようになっているので、自己破産が済んだ後に過払い金の請求を行うのはおかしい、というのが貸金業者側の主張でしょう。
過払い金請求時に気を付けたいポイントを見てみましょう。

 

信義則違反・権利濫用による否定

自己破産後に過払い金の返還請求を行うと、信義則違反・権利濫用であるとして否定されてしまうこともあります。

信義則違反とは、契約している当事者はお互いに相手の信頼を裏切らないように行動をしなければならないという「信義誠実の法則(民法1条2項)」という原則に違反しているとして、その権利を認めないことです。本来であれば、自己破産の際に過払い金を清算しておくべきであって、免責後に請求を行うのはこの原則に違反した行動だ、という貸金業者側の主張です。

権利濫用は、権利を行使するにあたり、その正当な範囲を逸脱しているとして権利を否定することです。自己破産時に過払い金を清算すれば、そのお金は債権者に配当されていたはずなので、元々債務者が受け取れるお金ではなく自己破産後に請求するのは権利濫用にあたる、という主張です。

これらの貸金業者側の主張は、裁判所が過払い金のチェックを指導している後に自己破産をした場合では、たしかに認められるケースもあります。ですが、過払い金を重視していない時代の自己破産には同様の主張は認められず、これらの主張を否定する裁判例もあります。

ポイントとしては、自己破産者が過払い金請求権を“行使できない”とする法的根拠がないこと、自己破産者が自己破産時に過払い金の存在を認識していなかったこと、でしょう。自己破産時に、貸金業者に取引履歴の開示請求を行っていなければ、過払い金の発生を知ることはできません。このような場合では、貸金業者の主張を否定するのは難しくないでしょう。


 

自己破産時の借金に相殺される?

自己破産が認められ、決定した免責がその後になって取り消されるようなことはありませんので、自己破産後に過払い金が発生していたとしても、帳消しになった借金の返済義務が生まれるわけではありません。では、発生していた過払い金は、自己破産時の借金に充当されずにすべて手元に入るのでしょうか?

基本的には、過払い金が発生していると発覚した場合には、その全額を請求することができます。しかし信販会社(クレジットカード会社)を利用しているケースでは注意が必要です。例えば信販会社(クレジットカード会社)でキャッシング枠について過払い金が発生していた場合に、ショッピング枠で免責があると、ショッピング枠で免責になった金額と過払い金を相殺するという判例が出ています。[2005年(平成17年)5月27日名古屋地方裁判所判決]

このような場合には取り戻せる過払い金は、免責になったショッピング枠の債務分を差し引いた金額となります。

自己破産を考えているならまずは過払い金のチェックを!

現在は、裁判所が自己破産前に過払い金が発生していないかのチェックを行うように指導をしています。それでも、過去に借金を完済している貸金業者を見落としているケースもあれば、そもそも取引があったことを忘れているというケースもあり得ます。そうなると、きちんと過払い金の清算をしないままに自己破産をすることになってしまいますので、必ず取引のあったすべての貸金業者についてチェックするようにしましょう。

自己破産時に管財人が調査を行った結果、多額の過払い金が発覚し、債権者へ全額配当してもなお破産者に返還する分が出る、というような例が年に数件あるようです。このような場合、そもそも自己破産をせずとも、過払い金請求をするだけで借金を完済できたことになります。借金返済に苦しんでいる人にとって、それだけ過払い金のチェックは大切なことなのだと覚えておきましょう。

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